Japanische Klassiker mit Furigana
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おせん
おせん
邦枝 完二
Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme
――」
懐中から取り出した春重の写生帳には、十数枚のおせんの裸像が様々に描かれていた。
六
松五郎は、狐につままれでもしたように、しばし三日月の光に浮いて出たおせんの裸像を、春重の写生帳の中に凝視していたが、やがて我に還って、あらためて春重の顔を見守った。
「重さん、お前、相変らず素ばしっこいよ」
「なんでよ」
「犬の皮をかぶって、おせんの裸を思う存分見た上に写し取って来るなんざ、素人にゃ、鯱鉾立をしても、考えられる芸じゃねえッてのよ」
「ふふふ、そんなこたァ朝飯前だよ。――おいらぁ実ァ、もうちっといいことをしてるんだぜ」
「ほう、どんなことを」
「聞きてえか」
「聞かしてくんねえ」
「ただじゃいけねえ、一朱だしたり」
「一朱は高えの」
「なにが高えものか。時によったら、安いくらいのもんだ。――だがきょうは見たところ、一朱はおろか、財布の底にゃ十文もなさそうだの」
「けちなことァおいてくんねえ。憚ンながら、あしたあさまで持越したら、腹が冷え切っちまうだろうッてくれえ、今夜は財布が唸ってるんだ」
「それァ豪儀だ。ついでだ、ちょいと拝ませな」
「ふん、重さん。眼をつぶさねえように、大丈夫か」