Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おせん

おせん

邦枝 完二

Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme

Aozora Bunko

「小判の船でも着きゃしめえし、御念にゃ及び申さずだ」

財布はなかった。が、おおかた晒しの六尺にくるんだ銭を、内ぶところから探っているのであろう。松五郎は暫しの間、唖が筍を掘るような恰好をしていたが、やがて握り拳の中に、五六枚の小粒を器用に握りしめて、ぱっと春重の鼻の先で展げてみせた。

「どうだ、親方」

「ほう、こいつァ珍しい。どこで拾った」

「冗談いわっし。当節銭を落す奴なんざ、江戸中尋ねたってあるもんじゃねえ。稼えだんだ」

「版下か」

「はんははんだが、字が違うやつよ。ゆうべお旗本の蟇本多の部屋で、半を続けて三度張ったら、いう目が出ての俄分限での、急に今朝から仕事をするのがいやンなって、天道様がべそをかくまで寝てえたんだが蝙蝠と一緒に、ぶらりぶらりと出たとこを、浅草でばったり出遭ったのが若旦那。それから先は、お前さんに見られた通りのあの始末だ。――」

「そいつァ夢に牡丹餅だの。十文と踏んだ手の内が、三両だとなりゃァ一朱はあんまり安過ぎた。三両のうちから一朱じゃァ、髪の毛一本、抜くほどの痛さもあるまいて」

「こいつァ今夜のもとでだからの」

「そんなら止しなっ聞しちゃやらねえ」