Japanische Klassiker mit Furigana
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おせん
おせん
邦枝 完二
Lesen Sie おせん von 邦枝 完二 (くにえだかんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.074 Zeichen · 148 Bildschirme
あの期に及んで、垣根へ首を突込むなんざ、情なすぎて、涙が出るじゃァござんせんか」
「おやおや、これはけしからぬ。お前が腰を押したからこそ、あんな態になったんじゃないか、それを松つぁん、あたしにすりつけられたんじゃ、おたまり小法師がありゃァしないよ」
「あれだ、若旦那。あっしゃァ後にいたんじゃねえんで。若旦那と並んで、のぞいてたんじゃござんせんか。腰を押すにも押さないにも、まず、手が届きゃァしませんや。――それにでえいち、あの声がいけやせん。おせんの浴衣が肩から滑るのを、見ていなすったまでは無事でげしたが、さっと脱いで降りると同時に、きゃっと聞こえた異様な音声。差し詰志道軒なら、一天俄にかき曇り、あれよあれよといいもあらせず、天女の姿は忽ちに、隠れていつか盥の中。……」
「おいおい松つぁん。いい加減にしないか。声を出したなお前が初めだ」
「おやいけねえ。いくら主と家来でも、あっしにばかり、罪をなするなひどうげしょう」
「ひどいことがあるもんか。これからゆっくりかみしめて、味を見ようというところで、お前に腰を押されたばっかりに、それごらん、手までこんなに傷だらけだ」