Japanische Klassiker mit Furigana
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おばなさわ
おばな沢
山本 周五郎
Lesen Sie おばな沢 (おばなさわ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.479 Zeichen · 45 Bildschirme
「おねえさまに静かにして下さるように仰しゃってよ、お母さま、あの声ぴんぴんして、頭に響いていやだわ」
「そんなことが云えますか、そんなに響くほどじゃないじゃないの、小姑根性とか鬼千疋とか、すぐに云われるのはそういうことなのよ」
「だって節子が寝ているのを知っている筈でしょう、この家の人になればこの家の者のことも少しは考えて頂きたいわ、おねえさまがいらしってからお母さまもお変りになったのね、節子のことなど誰も心配して呉れる者はいないんだわ」
「そんなことをお云いだってあなた、……節子さんは神経を立てすぎるのよ、そんな、母さんがあなたのことを考えないわけがないじゃないの」
「わたくし尾花沢へいくわ、春になって雪が消えたら、どんなことしたって」
節子は母からそむいて、涙をこぼしながら云った。
「お父さまやお兄さまがどんなに反対なすったって、道があけて、動けるようになったら、わたくし独りで尾花沢へゆくわ」
母の気心が変ったと云ったのは、もちろんそのときのはずみである、暢気でものにこだわらない母は、節子の病気にもさしておろおろするようすはなかった。嫁に対しても同様である、気にいっていることは慥かだが、とくべつひいきするというわけでもない。