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Japanische Klassiker mit Furigana

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おばなさわ

おばな沢

山本 周五郎

Lesen Sie おばな沢 (おばなさわ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.479 Zeichen · 45 Bildschirme

Aozora Bunko

和田玄弘はそう云ったが、ようやくこっちのものになったという、安堵の色を隠すことはできなかった。

十一月のはじめに雪が降った。その雪を寝床の中から眺めていると、母が来て、

「相良さまがみまいにいらしっているが」

と云った。

節子は危うく叫びそうになり、色を変えて壁のほうへ眼をむけた。

「こんど尾花沢のお役目が解けて、昨日こちらへ帰っていらしったのですって、ちょっとみまいを云いたいと仰しゃっているのだけれど」

「おめにかかりたくありません、お断わりして下さい」

「おみまいの品も頂いたし、ちょっとお会いするだけでいいのだがね、そのまま御挨拶だけすれば」

「もう仰しゃらないで、お母さま」

節子は不作法に母の言葉を遮った。

「相良さまには決しておめにかかりたくありません、おみまいの品もお返しして下さい。もう二度と訪ねて来ないように仰しゃって下さい」

「そんなあなた、そんなことを節子さん」

「いいえもういや、なにも仰しゃらないで、わたくし死んでしまいます」

相良のことをそれ以上云われると、本当に死んでしまうような気持だった。母は途方にくれたことだろう、しかし節子は掛け夜具の中へ顔を入れ、口惜しさと憎しみとで、半刻あまり泣きやむことができなかった。