Japanische Klassiker mit Furigana
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おばなさわ
おばな沢
山本 周五郎
Lesen Sie おばな沢 (おばなさわ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.479 Zeichen · 45 Bildschirme
神代の眺めといった感じですね」
「そういうところに棲んでいるのではございませんの、あの古くからいる、土民とかいう人たちは」
節子がこう聞くと、英之助は警戒するように顔をひきしめた。うっかりしたことは云えないという眼つきで、言葉をぼかした。
「それはわからないんですよ、その森から峡谷の奥へかけて、どこかにいるらしいんだが、その場所はどうしてもみつからない、尾花沢の口のところに樵夫の部落がありましてね、小屋が七、八戸あるだけの小さな部落なんだが、なかには数代もまえから、そこで暮している者もあるんですが、かれらもその土民たちがどこに棲んでいるか、まだ見たことがないそうです」
「――その人たち、なにか悪いことでも致しますの」
「さあ、悪いことと云って、そうですね、……まあとにかく御領内にいて法令に従わないだけでも、罪は罪でしょうからね」
英之助は、そこでまた巧みに話をそらした。結局はっきりしたことはわからずじまいであったが、いずれにせよ、その土民たちに関係があることは慥かだと思えた。三日目の昏れがた、帰るときになって、彼は袂から紙に包んだ金をとり出して節子に渡した。