Japanische Klassiker mit Furigana
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おじょろうぐも
お女郎蜘蛛
宮本 百合子
Lesen Sie お女郎蜘蛛 (おじょろうぐも) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.913 Zeichen · 26 Bildschirme
女の机の上にはいつでも短刀が置いてあった。虹をはく様なその色、そのかがやき、そのさきのほそさ、ひやっこさ、等がそれに似寄った心をもって居るお龍の気に入って居た。まじめにまじりっけのない気持でお龍のところに通って来るまだ若い男があった。お龍はいつもと同じ様にその男に自分の力をためしてはほほ笑んで居た。馬鹿にしたほほ笑みも男は嬉しく思って笑いかえして居た。男はごくまじめな正直な様子をしてお龍のところに来た。一事口をきくにでもお龍が上からあびせかけるのを下から持ちあげて返事をしお龍の見下して笑うのを男は見上げて笑い返して居た。
「これあんたにあげましょう」
人を馬鹿にした笑いを目の中にうかせて女は机の上の短刀をぬいた。
「エ、何にしに、……死ねと云うんかい……」
男は瞳をパッとひろげて云った。
「フフフどうだか一度は死ぬ命ですワ、お互さまに……ねーえ」
根生わるく男の目のさきでピラつかせながらこんな事を云った。美くしい眼をすえて刃わたりをすかし見ながら、
「あたし今何でも思う通りに出来るのよ。あたしは今お前の首を犬になげてやる事も出来れば空をとぶ鳥に放ってやる事も出来るのよ。