Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

おじょろうぐも

お女郎蜘蛛

宮本 百合子

Lesen Sie お女郎蜘蛛 (おじょろうぐも) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.913 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

恐ろしくすんだ声はびっくりするほど遠くひびいた。自分の笑い声の消えて行くのをジッとききながらその声をきいて身ぶるいをする男のあるのを思って声はたてないうす笑をもらした。

お龍は立ち上って着物を着更えた、今までよりは一層はでなはっきりした着物と帯をつけお化粧もした顔と姿とは倍も倍も美くしくなった。鏡の中にほほ笑んで居る自分の姿を一寸ふりかえってお龍はスルスルと廊下に出て足音もさせずにさきをすかしすかし店のそとの倉前に行った。つめたい石段に頭をかかえて深い深いうかむことのない海の底にひきこまれた様な重い気持で思い込んで居た若い男は自分の傍にお龍の立って居るのなんかは知るだけの余裕がなかった、「主人の娘だ、あんなひやっこい様子をして居るから何かしたらきっとおっぴらにしてしまうにきまってる、それにまだ年も若いんだし――」こんな事はお龍を気を狂いそうにまで思ってる若い男の心をなやました。

男は自分がこんな苦しい思をして居るより、一思いにこの家を出てしまおうとも思った。あの美くしさを一目でも見ずにすごすと云う事はとうてい自分のこらえられそうにもない事であった。