Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
Lesen Sie ぐうたら道中記 (ぐうたらどうちゅうき) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 164.113 Zeichen · 332 Bildschirme
何なら奉納しても宜いのだけれど、現に大人連中の間にも責任問題の持ち上っている代物だから、何うも仕様がない。然うかといって急に仕舞い込もうものなら泣き出すに定っている。既に鼻を鳴らしているので、お母さんは蜜柑を籠ごと供えて只管ことなきを祈っていた。
「君、そのピンはつい見かけたことがないようだが、新調かね?」
と団さんが稍唐突にお父さんのネクタイのピンを問題にした。
「何、このピンかい? 新調じゃないよ。僕は斯ういうものには没趣味だから唯一本あるばかりで年中これさ」
とお父さんが答えた。
「しかし余程面白い意匠だね。細工も凝ったものだ」
「何に、有りふれたものさ」
「虎の顔だね。口を開いているところが奇抜で宜い。田口君の好みとでもいいそうな品物だ」
「これがかい? おや/\!」
「何うした?」
と団さんが訊くと、お父さんは、
「これは僕のじゃない。可怪しなことがあるもんだな」
とピンを指先に持ったまゝ首を傾げた。
「それだからつい見かけないと言ったのさ。金無垢で目と歯が銀の、斑は赤銅か。出来合にはこんな精巧なものはない。この歯は一本々々後から植えたもんだぜ」
「どれ、見せ給え」