Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
Lesen Sie ぐうたら道中記 (ぐうたらどうちゅうき) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 164.113 Zeichen · 332 Bildschirme
「最初は田口君かとも思ったが、君の素振りでそれと覚ったのさ。一体何時掏り替えたね?」
とお父さんが訊くと、
「東京駅で細君に別れを惜んでいる間にさ。同じやるなら、後日大きな口の利けない時をと思ってね」
「人の悪い掏摸があればあるもんだ。三輪君のは?」
「三輪君のは箇所が悪いから大骨を折ったよ。幾度も席を替えて貰って漸く田口君の註文を果した」
「道理で彼方へ行って呉れの此方へ来てくれのと、無暗に我儘をいうと思っていたよ。あんなに条件をつけて掏り替えるのなら僕にでも出来る」
と三輪さんが負け惜みを言った。いくら条件つきでもカフス釦を両方とも掏り替えられて知らずにいるとは能く/\だと僕は思った。
「兎に角掏られて威張っていたところで始まらないから気をつけ給え。僕だから宜いようなものゝ、他のものなら持って行ってしまうぜ」
と団さんは将来を戒めて、小筥に入れた品物を二人に返した。田口さんの虎はその儘お父さんのネクタイと三輪さんの袖口から日本全国を遊覧することになった。
彼れ此れする中に汽車がトンネルへ入り始めた。出たかと思うとまた入る。窓を閉めたり開けたり、僕は天手古を舞った。