Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐうたらどうちゅうき
ぐうたら道中記
佐々木 邦
Lesen Sie ぐうたら道中記 (ぐうたらどうちゅうき) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 164.113 Zeichen · 332 Bildschirme
間もなく僕達は又自動車に乗って三島の町を走り始めた。
「馬鹿にひょろ長い一本町だね」
とお父さんが悪口をいうと、団さんは、
「田舎町は大抵ひょろ長いさ。都会も人間と同じことで、栄養不良なのは君達みたいに横幅がない。仙夢さん、三島も未だ『今日牛肉あり』の方ですか?」
「酷く見括りましたな。尤も僕等の子供の頃は静岡から牛肉の来た日には沼津でも『今日牛肉あり』という赤旗を出して祝したものですが、昨今は兵営も出来て、物価は東京よりも高いという評判です」
「三島の名物は何ですか?」
「やっぱり水ですな」
と仙夢さんは水の宣伝ばかりしている。
「水の好い割合にそう綺麗な人もいませんでしたわね」
と田鶴子さんが言った。
「富士の白雪も信拠にならない」
とお父さんが言うと、仙夢さんは、
「美人は沼津さ。間もなく紹介するよ」
「私、参考の為めにあの池の水をこれだけ汲んで参りましたわ」
と田鶴子さんは手提の中から小さな壜を大切そうに出して見せた。
「田鶴子さんは仙夢さんに瞞されましたね。それは富士の白雪じゃありませんよ」
と三輪さんが笑った。
「白雪ですとも。三島の水は皆富士の……」
「否、実は私の郷里の熊本にも水前寺公園といって先刻の池と同じような水の名所があるんです。