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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぐうたらどうちゅうき

ぐうたら道中記

佐々木 邦

Lesen Sie ぐうたら道中記 (ぐうたらどうちゅうき) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 164.113 Zeichen · 332 Bildschirme

Aozora Bunko

「折角好いお連れが出来たと思いましたのに惜しゅうございますわ。私達は夜泣石は附けたりで此処の観音さまへ心願に参るのですが、お序に如何でございますか?」

「真正に二度とお出になるようなところじゃございませんから、一つお父さんにお願い申して御覧なさいませ」

と奥さん達は勧誘に努めた。

女どうしの会話はこの夜泣石同様聞き物というよりも見物だ。一言一句に精密な表情を伴わせる。「おや」とか「まあ」とか言う時には眉毛を動かして及ぶ限り目を見張ることに申し合わせてあるのらしい。そうして聞く方でも一々表情で相槌を打ち言葉の内容通りの顔をするから、女と女の話は聾が見ていても筋だけは分るそうだ。然るに男は怒ってゞもいない限りは有らゆることを少しも顔面の筋肉を動かさずに言える。お父さんは僕が口笛を吹くと、「こら、こら、謙一、やかましいぞ」と本から目を放さずに一本調子で窘める。

「お爺さん、此処の観音さんは何ういう御利益があるんだね?」

とお父さんは手帳に何か認めながら訊いた。

「子供衆のない方が参詣致すと不思議にも覿面に授かりますで、東京や京大阪から遙々とお出になります」

とお爺さんが答えた。