Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さかだちこぞうさん

さか立ち小僧さん

小川 未明

Lesen Sie さか立ち小僧さん (さかだちこぞうさん) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.958 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

」

秀吉は、ひとりごとをいって、また、いっしょうけんめいに、リヤカーを、自分たちの町の方へ走らせたのです。その後ろ姿が、二人の少年の目には、なんとなく悲しくうつりました。

あちらに、親しみのある、湯屋の高い煙突が見えたころです。

「晩に、ぼくたち、双眼鏡で、空の星を見るから、秀吉くんも遊びにきたまえね。」と、武ちゃんがいいました。

「ほんとうに、おいでよ。」と、健ちゃんも、いいました。

「大ぐま座、小ぐま座、北斗星などを見るのだよ。それに、もっと遠い海王星が、雲がなくて見えるといいね。」と、健ちゃんが、さも楽しそうに、いいました。

「ご飯を食べてからですね。そうすれば、おれも用事が終わるから、いかれますよ。」と、秀吉は、答えました。やがて、リヤカーは、坂を下ると、道をまがって、二人の少年と犬を乗せながら、自分たちの家のある町の中へ入ったのでした。

その夜、空き地では、かたすみの方に、わずかばかりしげる草むらの中から、いろいろの虫の声が聞かれました。しかし、秀吉には故郷の、あのかぎりもなく広い田んぼから、さながら雨の降る音のように流れてくる、ひびきの高い虫の声とは、おのずから感じがちがって、もう秋の近づいたという、心のひきしまる、さびしさは味わわれませんでした。