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Japanische Klassiker mit Furigana

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さるすべり

さるすべり

山本 周五郎

Lesen Sie さるすべり von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.095 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

そのようすにはもう重大な秘事をもれ聞いたというけぶりは微塵もなかった、かれはふだんから無口で、動作もいずれかというと重たく、おくに言葉でいうと「はっきとせぬ」風貌をもっていた。またこれまで数度の合戦にのぞんでもさしてめざましい功名があったわけでもなかったが、どこかにひとをひきつけるところがあるとみえ、上からも下からもたのもしがられていた。

「ああ御物頭」廊下を走って来た若ざむらいがいかにも嬉しそうな声で呼びかけた、「岩手沢から行李がとどきました、いま荷おろしをしております」「そうか、それはよかったな」「すぐにおいで下さい」そう云ってなおほかへ知らせにゆく若ざむらいとわかれ、治部介はいそぎ足に二の曲輪へと出ていった。

そこではいま大手のほうから荷を運びこんでいるところで、人足たちのえいえいというかけ声が城壁にいきおいよく響いていた、あっちからもこっちからも、聞き伝えた兵たちが馳けて来ては、人足の列の両がわに群れをなした。ずいぶん待たれた行李だった、大阪を夏のはじめに出て、季節はいま秋を迎えようとしている、将も兵も身のまわりの品々をとり替えなければならない、武器もものの具も補充しなければならない、そして本城から届く行李にはこれらのほかに故郷のたよりがある、兵たちにとってはことにそのたよりがなにより待たれるもの