Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しいたげられたてんさい
しいたげられた天才
小川 未明
Lesen Sie しいたげられた天才 (しいたげられたてんさい) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.087 Zeichen · 9 Bildschirme
その音は、外の風の声に、かき消されたけれど、子供は、さびしさをまぎらせていました。
いよいよ戦争が終わって、空襲の恐れがなくなると、この家族は、古いすみかへもどっていきました。そのとき、糸の切れた木琴は、ほかの不用になった品物といっしょに、捨てられるごとく、この村へ残されたのでした。
炭焼きじいさんの、孫の秀吉は、よく祖父の手助けをして、山から俵を運ぶために、村端の坂道を上ったり、下ったりしました。そのたびに、ちょうど道のそばにあった、古道具屋の店さきにかかった、木琴に心を奪われたのです。
「どうでも、おじじにねだって、あれを買ってもらうぞ。」と、かがやく瞳で楽器を見つめて、こう、ひとり語をするのでした。
しかし、よく働く孫の、この願いは空しくなかった。ついに、その木琴が、秀吉の手に入ったとき、どんなにうれしかったでしょう。彼は、苦心して、細い針金で、糸の切れたのをつなぎました。糸を強く張って、ピン、ピンと、ひくと、いい音に、一つ一つ、羽があって、雲切れのする青い空へ、おどり上がるような気がしました。
山や、谷や、木立までがこの音を聞いて、急に目覚めたものか、いままでに感じないほど、喜びと、悲しみの色を濃くしたのでした。