Japanische Klassiker mit Furigana
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すみれ
すみれ
北条 民雄
Lesen Sie すみれ von 北条 民雄 (ほうじょうたみお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 2.170 Zeichen · 5 Bildschirme
来る日も来る日も何の楽しみもない淋しい日ばかりで、じいさんはだんだん山の中に住むのが嫌になって来ました。
「ああ嫌だ嫌だ。もうこんな一人ぼっちの暮しは嫌になった。」
そう言っては今まで何よりも好きであった仕事にも手がつかないのでした。
そして、或日のこと、じいさんは膝をたたきながら
「そうだ! そうだ! わしは町へ行こう。町には電車だって汽車だって、まだ見たこともない自動車だってあるんだ。それから舌のとろけるような、おいしいお菓子だってあるに違いない。そうだそうだ! 町の息子の所へ行こう。」
じいさんはそう決心しました。
「こんなすてきなことに、わしはどうして、今まで気がつかなかったのだろう。」
そう言いながら、じいさんは早速町へ行く支度に取りかかりました。ところが、その時庭の片すみで、しょんぼりと咲いている、小さなすみれの花がじいさんの眼に映りました。
「おや。」
と言ってすみれの側へ近よって見ると、それは、ほんとうに小さくて、淋しそうでしたが、その可愛い花びらは、澄み切った空のように青くて、宝石のような美しさです。
「ふうむ。わしはこの年になるまで、こんな綺麗なすみれは見たことはない。