Japanische Klassiker mit Furigana
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すみれ
すみれ
北条 民雄
Lesen Sie すみれ von 北条 民雄 (ほうじょうたみお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 2.170 Zeichen · 5 Bildschirme
」
とじいさんにお礼を言うのでした。
すみれはますます美しく、清く咲き続けました。じいさんも、すみれを見ている間は、町へ行くことも忘れてしまうようになりました。
或日のこと、じいさんは
「お前は、そんなに美しいのに、誰も見てくれないこんな山の中に生れて、さぞ悲しいことだろう。」
と言うと
「いいえ。」
とすみれは答えました。
「お前は、歩くことも動くことも出来なくて、なんにも面白いことはないだろう。」
と尋ねると
「いいえ。」
と又答えるのでした。
「どうしてだろう。」
と、じいさんが不思議そうに首をひねって考えこむと
「わたしはほんとうに、毎日、楽しい日ばかりですの。」
「体はこんなに小さいし、歩くことも動くことも出来ません。けれど体がどんなに小さくても、あの広い広い青空も、そこを流れて行く白い雲も、それから毎晩砂金のように光る美しいお星様も、みんな見えます。こんな小さな体で、あんな大きなお空が、どうして見えるのでしょう。わたしは、もうそのことだけでも、誰よりも幸福なのです。」
「ふうむ。」
とじいさんは、すみれの言菓を聞いて考え込みました。
「それから、誰も見てくれる人がなくても、わたしは一生懸命に、出来る限り美しく咲きたいの。