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Japanische Klassiker mit Furigana

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たきび

たき火

国木田 独歩

Lesen Sie たき火 (たきび) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.674 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

あわただしく飛びゆくは鴫、かの葦間よりや立ちけん。

この時、一人の童たちまち叫びていいけるは、見よや、見よや、伊豆の山の火はや見えそめたり、いかなればわれらが火は燃えざるぞと。童らは斉しく立ちあがりて沖の方をうちまもりぬ。げに相模湾を隔てて、一点二点の火、鬼火かと怪しまるるばかり、明滅し、動揺せり。これまさしく伊豆の山人、野火を放ちしなり。冬の旅人の日暮れて途遠きを思う時、遥かに望みて泣くはげにこの火なり。

伊豆の山燃ゆ、伊豆の山燃ゆと、童ら節おもしろく唄い、沖の方のみ見やりて手を拍ち、躍り狂えり。あわれこの罪なき声、かわたれ時の淋びしき浜に響きわたりぬ。私語くごとき波音、入江の南の端より白き線立て、走りきたり、これに和したり。潮は満ちそめぬ。

この寒き日暮にいつまでか浜に遊ぶぞと呼ぶ声、砂山のかなたより聞こえぬ。童の心は伊豆の火の方にのみ馳せて、この声を聞くものなかりき。帰らずや、帰らずやと二声三声、引続きて聞こえけるに、一人の幼なき児、聞きつけて、母呼びたまえり、もはやうち捨て帰らんといい、たちまちかなたに走りゆけば、残りの童らまた、さなり、さなりと叫びつ、競うて砂山に駈けのぼりぬ。