Japanische Klassiker mit Furigana
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だいこん
だいこん
久生 十蘭
Lesen Sie だいこん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 153.732 Zeichen · 303 Bildschirme
ソファにも椅子にもそのときどきのたのしい追憶がからみついているが、みなかえらぬ思い出になってしまった。
ビュウロォへ戻って待っていたがなかなか帰ってこない。下士官や将校が廊下を通りながらじろじろあたしを見て行く。気が沈んでたまらない。両手をうしろへまわしてカウンターに凭れていると、フロント係の大橋さんがワイシャツの腕まくりでいそがしそうにやってきて、おや、とびっくりしたように立ちどまった。
自信のある娘っ子どもがみな顔に鍋墨を塗って田舎へ逃げだすという、てんやわんや騒ぎのなかに、フロックなんか着こんですっとぼけているというんだから、気でもちがったかと思うのも無理はない。あたしがいった。
「大橋さん、気はたしかなのよ。ちょっと電話、お借りするわ」
「はあ、どうぞどうぞ」
呆気にとられたようにまだ見ている。電話をかけるとすぐママが出てきた。
「あなた、どうなすったの」
「山チイの電話、おききになって」
「それは聞きましたが、そちらへいらっしゃること、ママは伺っていませんでしたよ」
「ごめんなさい。きょうね、鸛一さんが軍艦で死んだのよ。山チイはまだ知らないんです。