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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいこん

だいこん

久生 十蘭

Lesen Sie だいこん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 153.732 Zeichen · 303 Bildschirme

Aozora Bunko

が四百人、つぎつぎに九段坂の灰色の建物へ連れて行かれた。けっきょく軍法会議にかけられて銃殺されるのだろうとママなどは覚悟していたらしかった。重臣から横槍が出てあぶないところで命だけは助かって帰ってきたが、それ以来、なにをきいても返事もしない苦虫中の苦虫になってしまった。

この調子だと、パパの苦虫は永久につづくのだろうとあきらめていたが、降伏の申し入れをした十日の夕方、役所から帰ってくるとニコニコ笑いながらママにいった。

「これからは辛いぞ。貫太郎さんは血と涙の生涯といったが、ほんとうだ。だがその時を越えれば、戦前の日本よりよくなる。希望をもとう」

それからあたしにいった。

「だいこん、お前だけだよ。そのいいときを見られるのは」

その日からパパは明るいひとになった。笑いもするし人並みにものもいうようになった。やれやれと思っていたら、たった五日笑っただけでまたもとの苦虫へ逆戻りしてしまった。

世界でいちばん不機嫌な、笑わない人種は、赤道アフリカのナナ族で、なにをしてやっても喜ばない憂鬱なやつらだが、それでもマニオックという澱粉薯のとれだすころになると、一年を通じて十日ぐらいはニヤリとすることがあるということだ。