Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいこん

だいこん

久生 十蘭

Lesen Sie だいこん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 153.732 Zeichen · 303 Bildschirme

Aozora Bunko

あたしはうれしさでふらふらになり、フォークもマカロニもほおりだして大き声でいった。

「フレッドさん、あたし、ここよ」

フレッドさんはびっくりしたように立ちどまって、離れたところからあたしの顔を見ている。

「フレッドさん、お馬鹿さん、あたしよ」

フレッドさんはめずらしい動物でも眺めるような眼付でじろじろ見ている。あたしがイライラしていった。

「フレッドさん、あたしよ……だいこん」

それでもなにもいわない。鉄兜を眉の上までずりさげ、クリスマス・カロルの〈スクリージュ〉か、アン女王を倫敦塔の死刑場へ護送して行く首斬役人のような冷酷無情な顔つきで立っている。

復活祭、四芸術祭、七月十四日、降誕祭、除夜、オペラ座やヴェルサイユ宮の慈善興行……満寿子さん、六右衛門さん、長謙さん、珠子さん、山チイ、だいこんの六人組が大騒ぎをして遊ぶとき、フレッドさんが入っていなかったことはただの一度もなかった。三十八年の春はみなでニースの謝肉祭へ出かけ、花合戦の日まで長期の連続興行をやった。

それからまだ五年しかたっていない。その六十カ月の間にあたしがどんな大異変をとげたというんだろう。