Japanische Klassiker mit Furigana
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だいこん
だいこん
久生 十蘭
Lesen Sie だいこん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 153.732 Zeichen · 303 Bildschirme
パパなんかにすれば、過去六年の日本にはおかしいことなんかただの一つもなかったのかもしれない。それはともかく暗い闇の庭にすくんで、高崎や小田原が焼かれている空襲のアナウンスを聞きながら、けっきょく日本はどうなるのだろうと考えるのはあたしにとってもおかしいなんてことではなかった。
夜明けごろ爆撃が終り、パパがフロックに着替えているところへ、情報局のSさんから電話がきた。陸軍省と参謀本部の将校が何人とかが、近衛師団長をピストルで射殺したうえ、師団命令で部隊を召集して宮城を占領し、ご座所へ侵入してご詔勅の録音盤をさがしまわっている。べつの一隊は放送会館へ徹底抗戦の放送をしにきたが、空襲警報発令中なので、直通電話で東部軍司令部と交渉しているところだというニュースだった。
パパは受話器を放りだして、ものをいわずに書斎へ入って行ったが、しばらくすると大きな声で、
「馬鹿ッ、馬鹿ッ」
と怒鳴っているのがきこえてきた。なにをしているのだろうと思ってのぞきに行くと、パパは射撃会用のピストルをケースから出そうともがいていた。宮中へ駆けつけて、かなわぬまでも軍部と一戦しようというのらしいが、腹をたてているので、手が震えてケースのバネ錠がはずれないんだ。