Japanische Klassiker mit Furigana
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だいこん
だいこん
久生 十蘭
Lesen Sie だいこん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 153.732 Zeichen · 303 Bildschirme
なんというあわれな民族……というのがあたしの弔辞演説の要旨だ。
草稿をだして眺める。力のない声ではじめのところを温習ってみる。うまくいきそうもない。胸がドキドキしてはきたくなってくる。足元から風が吹きあげているようで、なんともたよりない気持だ。
とうとう死刑執行の時間になる。首斬六右衛門が入ってきてお前の番だとつげる。脇間から出てよろめくような足どりで霊代のほうへ進んで行く。眼の前に霞のようなものがかかってなにも見えない。反対に出口のほうへ歩いて行かなかったのがふしぎなくらいだ。横眼をつかうと、たしかに霊代の前に立っている。やれやれと思う。ニッコリと笑ってみる。たしかに笑ったはずなんだが、どうしても笑ったとは信じられない。
それはそうと、なにを言うつもりだっけ。ポリネシアでなし、丸太づくりでもない。ようやく最初の文句を思いだす。急げ急げ、なんでもいいからはやくやっつけてしまえ。まごまごしていると卒倒する。あわを喰ってやりだす。
「この戦争で……」
あたかもそのとき、耳のそばで不意にこんな声がした。〈お前はいまとんでもないことをしゃべりだそうとしているんだぞ〉。