Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいこん

だいこん

久生 十蘭

Lesen Sie だいこん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 153.732 Zeichen · 303 Bildschirme

Aozora Bunko

十六日 木曜

立派ないい旗だ。クラブではスケート・リンクをはじめるというわけなんだね」

陸さんがいった。

「なんて馬鹿なんだろう、こいつは。この旗が国旗に見えないのか、お前には」

折り返してまたあたしがいった。

「よく見えるよ。見えすぎるくらいだ。やはりこれは国旗なのか。そんなら伺いますがね、戦争のあいだ、誰がなんといってきてもあげないでいて、戦争に敗けてからあげたりするのはなぜなんですか」

六右衛門さんはポケットに手をつっこんだままコクのある渋い笑いかたをした。

「昨夜フト思いだしたんだ。あまりしまいこんでおくと虫がつくからな」

「はァ、国旗の虫干ってわけなのか。結構だよ」

四代目クラブも利巧じゃない。あたしは腹をたてて後も見ずに帰ってきた。

十六日   木曜

庭の花明りの中で大きな蝶が酔ったようによろめきまわり、海は貧血して、青くなってぐったりノビている。

十四日夜の宮城占領の将校四人は、田中東部軍管区司令官に説得されて自殺。残りは憲兵隊へ自首。放送会館のほうは宮城前へ行ってこれも自殺。襲撃組はみなつかまったが、シャトオブリアンが〈天上の妖術〉といっているように、武断派にとって戦争は聖職で、摂理によって偉大な運命を背負わされていると信じているんだから、軍神の面子にかけてもやすやすとひっこむまい。