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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいこん

だいこん

久生 十蘭

Lesen Sie だいこん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 153.732 Zeichen · 303 Bildschirme

Aozora Bunko

詫間は出来たてのレモン・スカッシのコップをわたしながら、おどろいたようにいった。

「へえ、ごぞんじなかったんですか」

満寿子さんは例のむずかしい〈三角関係〉の解決がつかなくなり、クラブ宛の長い書置きを書き、終戦のご詔勅の放送を聞きながら、へんなものを飲んでしまったんだそうだ。

満寿子さんのばあやは乃木大将夫人に使われたことのあるしっかり者で、ご放送がすむと、満寿子さんの部屋へお祝いをいいにあがって行った。

「こん日は辰の日で、よろず新しく立つといういい日でございまするから、こんじつ以来、日本もいい運に向いてまいりましょうでございます。おめでとうございます」

そういってお辞儀をしたが、満寿子さんは口から蛍の光のような青白い息をだしてだまっているので、ばあやは気がついて、大いそぎで卵の白身を八つとか十六とか飲ませ、へんなものを吐きださせた。終戦の八月十五日は、旧教国では五大節の一つになっている〈聖母昇天祭〉の祭日にあたるので、カトリック教徒の満寿子さんは、聖母マリヤと同伴で昇天する予定だったらしいのに、ばあやがよけいなお節介をしたばかりにとうとう天国行のバスに乗り遅れてしまった、というようなことだった。