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Japanische Klassiker mit Furigana

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とんだやのきゃく

とんだ屋の客

田中 貢太郎

Lesen Sie とんだ屋の客 (とんだやのきゃく) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.531 Zeichen · 5 Bildschirme

Aozora Bunko

「たしかに憑いている」

「此のうちの何人かに憑いている」

「何人だろう」

皆、一力の婢に知れないようにして囁きあったが、其のうちに日が暮れたので帰ろうとすると、一力の婢が二人提灯を点けて送ってくれた。

其の婢の一人は一ばん前にたって其のあとを若旦那が往き、それから馴染の校書が往き、校書の後を彼の婢が往っていた。すこし考えのあった老妓は、其の婢から三十間位も離れて、今一人の一力の婢と並んで歩いていたが、松原の中央へ往ったところで、

「へんなことを聞くようですが、私達は、幾人おります」と云うと、婢はちょと老妓の顔を見てから、

「五人じゃありませんか」

と云った。そこで老妓は指をさして、

「あの若旦那と、校書さんと、仲居さんとの他に、まだ何人かおりますか」

と云うと、婢は、

「銀杏返に結ってらっしゃる方が、まだ一人いらっしゃるじゃありませんか」と云った。老妓は眼を見はった。

「何処に」

と云うと、婢は指を己達の前の方へさして、

「其処にいらっしゃるじゃありませんか」

と云った。老妓はふるえあがって心の中で念仏を唱えながら、婢に縋りつくようにして歩きあるき、やっと停車場へ往ったところで、待ちあわしている乗客の中に、やはりとんだ屋の客の一行がいたので心丈夫になった。