Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はたしじょう

はたし状

山本 周五郎

Lesen Sie はたし状 (はたしじょう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.525 Zeichen · 39 Bildschirme

Aozora Bunko

「藤島は侮辱を受けなかったでしょうか、わたくしは数日まえに初めて聞きました、それも和田の弟から聞いたんです、あなたがお帰りになってから今日まで、わたくしの口からは申せないような、ひどいひどい蔭口や根もない謗りを、藤島はなにも云わずにがまんしていました、侮辱を耐え忍んでいたのは藤島でございます」

「お待ちなさい、私が彼になにをいったというんです」

「なにをですって、なにをいったかと仰しゃるんですか」

しのは激しく第二の眼を見つめた。それから突然ああと低く叫び、深く息をひきながら、独り言のように呟いた。

「やっぱり、……やっぱりそうでしたのね」

それは予想していたことが事実だったという響きをもっていた。第二を見つめているしのの眼が急にうるみ、挑みかかるような言葉つきが柔らかく顫えてきた。

「わかりました、そのお眼で、わたくしよくわかりました、蔭口をきいたり、人を謗ったりすることは、あなたにはおできになれませんわ、第二さまには、……そして藤島にも決してそんなことはできません、決して、……それは第二さまが御存じの筈です」

彼は黙っていた。しのは続けた。

「悪いのはお二人のほかの或る人間です、その人間がお二人をこんなふうにしたんです」