Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひすいをあいされたきさき

ひすいを愛された妃

小川 未明

Lesen Sie ひすいを愛された妃 (ひすいをあいされたきさき) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.483 Zeichen · 12 Bildschirme

Aozora Bunko

ただ、当年と変わりのないのは、初夏のころになると、ふじの花が、ところどころ、みごとに咲いて山を飾っていたのでした。

「この鐘の中には、ひすいが熔かし込んであるという話だが、青い色が、なんとなく底光りがして見えるな。」と、旅人は、壊れかけた鐘楼にたどり着いたときに、見上げながら連れのものに話したのでした。人が、山を降ると、あたりは寂然としました。みつばちが、翅を鳴らして、ふじの花の上へ集まっています。小鳥は、巣を造るために、鐘楼に止まって、鐘をつるしてある綱の髪の毛をつついては、引きちぎって、どこへかくわえて飛んでゆきました。

ある日のことであります。ここから遠く離れた街にあった、鉄工場の主人は、この鐘が雨風にさらされているということを聞いて、惜しいものだと思いました。安い価で、鐘を買い受けて、ひともうけしようと思って、わざわざ山へ見にきました。

すると、いつ落ちたものか、鐘をつるしてあった綱は切れて、鐘は、下に転がっていました。主人は、まゆをひそめて、子細に鐘を検分しましたが、もう古い鉄は、ぼろぼろになっていて、なんの役にもたちそうでなく、まったく自分の、くたびれ損に終わったことを知りました。