Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとりすもう
ひとりすまう
織田 作之助
Lesen Sie ひとりすまう (ひとりすもう) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.706 Zeichen · 40 Bildschirme
吐くと、白い砂の上に鮮やかに赤かった。頭上で声がした。
「どうか成さいまして?」
ぼくは勿論返答出来なかった。ただじっと息をこらして、喀血の止まるのを待っていた。二三度吐いた。全く情無かった。喀血その事よりも、見知らぬ女の前でそんな醜態を演じてしまったことが情無かった。その女は暫く呆然としていたらしいが、やがて海水を手ですくって、ぼくの口にのませてくれた。食塩水が止血に効くことを知っていたのだろう。綺麗な手だった。しなやかで色が白かった。その手を握って海水を啜った。今にして思えばありがたい喀血だが、その時は、砂を掘ってもその中にはいってしまいたい位だった。海水をのむと安心したのか、心が静まって、胸のガラガラ鳴る音が止んだ。ぼくは漸く頭をあげてその女の顔をみた。そして突然、
「あなたは死ぬんじゃありませんか?」
と言った。随分恥しいことを言ったものだ。ぼくは先ず、ありがとうとお礼を言う可きだった。それを、顔を見るなり、死ぬんじゃありませんか、とはひどく気障っぽい言い方だし、それに失礼過ぎる。だが、そんな事をぼくに言わせたのは、その女の美しさなのだ。
一体、白浜は自殺者の多いところで、その土地で温泉小唄を募集した時、「南紀白浜自殺の本場、お湯の中でもコーリャ人が死ぬよ」