Japanische Klassiker mit Furigana
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ほととぎす
ほととぎす
堀 辰雄
Lesen Sie ほととぎす von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.252 Zeichen · 60 Bildschirme
もう梅雨ちかいそんな或日、突然殿があの祭の日からはじめてお見えになられた。私が空けたような顔ばかりして、いつまでも物を言わずにいると、「どうして何も言わないのだ」と、殿は私の機嫌をとるように言い出された。「何も言うことがございませんので――」と私が思わず生返事をすると、殿は急にこらえ兼ねられたようにお声を荒らげて、「どうしてお前は、来てくれない、憎い、悔やしいと、おれを打つなり抓るなりしないのだ」などとお言い続けになった。私はしばらく打ち伏したまま無言で聞いていたが、稍たってから、やっと顔をもたげ、「わたくしの方で実は申し上げたかった事を、そのように何もかも御自分で仰ゃられてしまいましたので、もう私の申し上げたい事はなくなりました」と言いながら、私はいつか自分がいかにも気味よげにほほ笑みだしているのを感じていた。
その日はそうやって一日中、二人共、むっつりとし合ったままで対い合っていた。殿は撫子を呼びにやられたが、撫子までがきょうは気分が悪いと言ってとうとう出て来なかった。殿はますます苦々しげな御顔をなすって入らしったが、それでも何かがお心残りのようにすぐにはお立ちにもならず、日暮れ近く、漸くお帰りになって往かれた。