Japanische Klassiker mit Furigana
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ほととぎす
ほととぎす
堀 辰雄
Lesen Sie ほととぎす von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.252 Zeichen · 60 Bildschirme
と小声で押問答していた。やがて道綱が私のところに来て、それを取り次いだので「そんな端近くでも構いませんでしたら――」と返事をさせた。頭の君はその返事を聞くと、少しお笑いになりながら、もの静かに衣ずれの音をさせて、妻戸からおはいりになって来られた。
ときおり向うの庇の間から、頭の君と道綱とが小声で取交わしている話し声に雑って、笏に扇の打ちあたる音が微かに聞えてくる。私どものいる簾の中は、物音ひとつ立てず、しいんと静まり返っていた。それから稍あって、頭の君はまた道綱に取り次がせて、私に「こないだはお目にかかれずに帰りましたので、又お伺いいたしました」と言ってよこした。そうやって何度も間に立たされている道綱が「早く何んとか言って上げませんか」としきりに私を責めるので、私はしょうことなくて几帳の方へ少しいざり寄っては見たものの、勿論、私の方から何も言い出すことはないので、そのまま無言でいた。頭の君はいざとなって、私に何んと言ったらよいのか、当惑なすって入らっしゃるような様子だった。なお、そのままにしていたら二人の間がいよいよ気づまりになって往きそうだったので、自分がそこにいる事を頭の君が或はまだお気づきにならないのかも知れぬと思って自分がそうしたようにお取りになればいいと、私は少し咳払いをした。