Japanische Klassiker mit Furigana
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みさごのすし
みさごの鮨
泉 鏡花
Lesen Sie みさごの鮨 (みさごのすし) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.198 Zeichen · 47 Bildschirme
が、出る時、小春が羽織を上に引っかけたばかりのなりで、台所まで手を曳いた。――ああ、その時お光のかぶったのは、小児の鳥打帽であったのに――
黒い外套を来た湯女が、総湯の前で、殺された、刺された風説は、山中、片山津、粟津、大聖寺まで、電車で人とともに飛んでたちまち響いた。
けたたましい、廊下の話声を聞くと、山中温泉の旅館に、既に就寝中だった学士が、白いシイツを刎ねて起きた。
寝床から自動車を呼んで、山代へ引返して、病院へ移ったという……お光の病室の床に、胸をしめて立った時、
「旦那さん、――お光さんが貴方の、お身代り。……私はおくれました。」
と言って、小春がおもはゆげに泣いて縋った。
「お光さん、私だ、榊だ、分りますか。」
「旦那さんか、旦那さんか。」
と突拍子な高調子で、譫言のように言ったが、
「ようこそなあ――こんなものに……面も、からだも、山猿に火熨斗を掛けた女だと言われたが、髪の毛ばかり皆が賞めた。もう要らん。小春さん。あんた、油くさくて気の毒やが、これを切って、旦那さんに上げて下さんせ。」
立会った医師が二人まで、目を瞬いて、学士に会釈しつつ、うなずいた。