Japanische Klassiker mit Furigana
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みちのく
みちのく
岡本 かの子
Lesen Sie みちのく von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.136 Zeichen · 13 Bildschirme
窓の中の写真は、都会風を模した、土地の上流階級の夫人、髯自慢らしい老紳士、あやしい洋装をした芸妓、ぎごちない新婚夫妻の記念写真、手をつないでいる女学生――大体、こういう地方の町の写真館で見るものと大差はないが、切れ目のはっきりした涼しい眼つきだけは撮されている男女に共通のものがあってこの土地の人の風貌を特色づけていた。
だが、私が異様に思ったのは、それらに囲まれて中央に貼ってある少年の大きな写真である。写真それ自体がかなり旧式のものを更に年ふるしたせいもあるだろうが、それにしても少年の大ようで豊かでそして何か異様なものが写真面に表われているのに心がうたれた。
少年はいい絹ものらしい着物を無造作に着て、眼鼻立ちの揃った顔を自然に放置していた。いくら写真を撮し慣れた人でも、これくらい写真機に対して自然に撮させた顔も尠なかろう。
私が思わず硝子近く寄って、つくづく眺め入るのを見て、有志の一人は側に来て言った。
「それは、東北地方では有名だった四郎馬鹿の写真です」
「白痴なのですか、これが」私は訊ね返した。
「白痴ですが、普通の馬鹿とは大分変っておりまして、みんなに、とても大事にされました」