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Japanische Klassiker mit Furigana

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めおとよろい

めおと鎧

山本 周五郎

Lesen Sie めおと鎧 (めおとよろい) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.130 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

太政大臣秀吉が薨じて一年、豊臣氏の権勢の中枢はいま治部少輔三成の手にあるが如くみえる。これに対して徳川家康がようやくその大きい存在を示しはじめていたし、この二者の対立は心ある人々の眼にかなりはっきりしたものになりつつあったが、めのまえの権勢きりみえない人たちはしきりに治部少輔の門へ出入りした。与吉郎もそのたぐいである。それが孫兵衛にはよくわかっていた。――なんとかしなくてはいけない。折にふれては、そう考えていたのである。その「なんとか」がつまり飛竜を斬ることになったのだ。

それは初めて霜のおりた朝だった。まだ暗いうちに備前島のほうへあるきにでた孫兵衛が、屋敷へ戻ろうとして京橋のほうへ向ってゆくと、菊岡の家の足軽で権六という者が、飛竜をつれてやって来るのと会った。まえにも記したように犢ほどもある大きなやつで、太い綱を襷のようにかけている。その綱の端を権六がつかんでいるわけだが、犬を曳いているというよりは、犬に曳かれている恰好だった。――なんという不甲斐ないざまだ。まず権六を見てそう思った。つぎに犬を見ると、こいつはまたいかにも人を見くだした眼つきで、うさん臭そうにあたりをねめまわしながら悠々とあるいている、「うん、おれが治部さまのお手飼いになったら、おまえたちにも出世のみちをひらいてやるよ」