Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めおとよろい

めおと鎧

山本 周五郎

Lesen Sie めおと鎧 (めおとよろい) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.130 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

「庭へまいれ」ひどく機嫌のわるい顔でそう云うと、幸長は小姓の捧げていた佩刀をとり、誰も来るなと云いながらさきに立って庭へおりた。唯ならぬけしきだった。なんだろうと不安ながらいそいでついてゆくと、幸長は泉池のほとりで立ちどまった。孫兵衛は、その前に膝をついて平伏した。

「そのほう、与吉郎の犬を斬ったそうだな」

そう云われて、孫兵衛はあっと思った。――あいつめ殿へご訴訟しおったのか。じかに押しこむ勇気がないので、しゅくんの裾へすがって返報しようとした、これほどまでに性根がみれんになっていようとは思わなかった。卑劣なやつだと、思わず孫兵衛はこぶしをにぎった。

「事実か、本当にそのほう与吉郎の犬を斬ったか」

「まことに恐れいり奉る、じつは」

「いいわけ無用」幸長のこえは、御殿までびんとひびいた。「斬ったかどうかをたずねるのだ。申せ、まことに犬を斬ったのかどうだ」「はっ、……たしかに」「斬ったと申すのだな」「…………」「孫兵衛、そのほうの刀は、犬を斬るほど無益なものか、刀はさむらいの魂とも云う、そのほう武士の魂で……ばか者」さけぶのといっしょに、つと身を跼めた幸長は片手で孫兵衛の衿をつかみ、こぶしをあげて力まかせになぐりつけた。