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Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆずゆ

ゆず湯

岡本 綺堂

Lesen Sie ゆず湯 (ゆずゆ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.255 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

わたしは好い心持になって先ずからだを湿していると、隅の方に浮いていた黒い頭がやがてくるりと振り向いた。

「こんにちは。」

「押し詰まってお天気で結構です。」と、わたしも挨拶した。

彼は近所の山口という医師の薬局生であった。わたしと別に懇意でもないが、湯屋なじみで普通の挨拶だけはするのであった。建具屋のおじいさんが書生さんといったのはこの男で、左官屋の徳さんはおそらく山口医師の診察を受けていたのであろうと私は推量した。

「左官屋の徳さんが死んだそうですね。」と、わたしもやがて風呂にはいって、少し熱い湯に顔をしかめながら訊いた。

「ええ、けさ七時ごろに……。」

「あなたのところの先生に療治してもらっていたんですか。」

「そうです。慢性の腎臓炎でした。わたしのところへ診察を受けに来たのは先月からでしたが、なんでもよっぽど前から悪かったらしいんですね。先生も最初からむずかしいと言っていたんですが、おととい頃から急に悪くなりました。」

「そうですか。気の毒でしたね。」

「なにしろ、気の毒でしたよ。」

鸚鵡返しにこんな挨拶をしながら、薬局生はうずたかい柚をかきわけて流し場へ出た。