Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme
「――出ましょうか」
立ち上りざまに言った。
「ええ」
と、それにうなずいたのが、丁度、公園で待っているということへの返辞にもとれて、君枝は狼狽したが、しかし、
「いいえ、行けません。止めときます」
とは咄嗟にどうしても出なんだ。
「浮いた気持で行くのんと違う。お父さんや母ちゃんの写真の引伸しを貰いに行くのや」
君枝はふと泛んだこれを自分へのいいわけにしながら、勘定を払っている次郎を喫茶店の表で待っていると、
「――今日写真を見に来て、次郎ぼんに会うたんも、ひょっとしたら、写真のひきあわせかも判れへんわ」
思わず呟いた自分の言葉に気の遠くなるほど甘くしびれたが、途端にお渡御(わたり)の太鼓の音が耳に痛くきこえて来た。
西日がきつかった。
鎧を着てよちよち歩いているだろう他吉のほこりまみれの足が想いだされて君枝はそんな甘い想いに瞬間浸ったことが許せないように思い、ちりちり胸が痛んで眉をひそめていると、次郎はいそいそと出て来て、
「こっち歩きましょう」
片影の方へ寄った。君枝の眉をひそめた表情を、日射のせいだと思ったのである。
写真館の隣りに寄席があった。
寄席の隣りに剃刀屋があった。