Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme
夜逃げでもしたのではないかという顔で、訊くと、
「声はすれども、姿は見えぬ、ほんにお前は屁のような……」
〆団治はうたうように言って、
「――今日はお午(うま)の夜店やさかい、そこイ行ったはんネやろ」
「さよか。――」
他吉はああ、よかったと、ほっとしたが、急に唇をとがらせて、
「このくそ寒いのに、夜店みたいなもん、見に行かんでもええのに……。子供が風邪ひいたらどないすんねん。ほんまに、うちのかかはど阿呆やぜ」
そう言うと、〆団治は、なにを莫迦なこと言うてんねん、他あやんよう聴きやと、一喋り喋る弾んだ口つきになって、
「お鶴はんが、何の夜店見物に行くひとかいな。お鶴はんはな、お初つぁんと一緒に夜店へ七味(なないろ)唐辛子を売りに行ったはるねんぜ」
「えっ? ほな、なにか。夜店出ししとんのんか」
他吉は毛虫を噛んだような顔をした。
「さいな。おまはんがヘリピンとかルソンとか行ったはええとして、ちっとも金は送っては来んし……」
「送ったぜ」
「はじめの二三年やろ? あとはお前鐚一文送って来ん、あとに残った二人がどないして食べて行けるねん? 夜店出しなとせんと、餓死してしまうやないか。