Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme
今なお俥をひいている此の俺を見ろと、他吉はくどくど言ったが、次郎は父親似の頑固者だった。
口で言うても分らぬ奴だと、しかし、他吉はさすがに孫娘の婿に手を掛けるようなことはせず、その代りなに思ったか、君枝を河童路地へ連れ戻した。
あっという間のことだったから、次郎は腹を立てたり、まあ待ってくれと言う余裕もなく、あっけに取られてしまった。君枝はそういう他吉の流儀に馴れていた。
君枝の婚礼の時、朝日軒のおたかは例によって頭痛を起して三日寝こんだ。だから、君枝が河童路地へ戻って来たのを、それみたことかと人一倍喜ぶのは普通ならおたかをおいてほかになかったが、丁度その時には朝日軒一家はもう河童路地の入口には居なかった。居たたまれないわけがあったのだ。
ありていに言うと、一番末の娘(といってももう三十歳だが)の持子が、姙娠したのだ。いってみれば、姉たちをさし置いて姙娠したのだ。
弁士の玉堂がきいたら悲観するところだったろうが、彼は七年前に河童路地を夜逃げしていた。トーキーが出来てから、弁士では食って行けず、暫らく紙芝居などやっていたが、それもすたれて、貧乏たらしくごろごろしていたが、ある日忽然と河童路地から姿を消したのだった。