Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme
実はな、向うへ行て、空を見て、どれが南十字星か判らんかったら恥やさかいな、昨日うちの会社の文芸部の男に案内してもろて、四ツ橋の電気科学館へ行て、プラ、プラ、プラチナ……」
「プラネタリュウム」
君枝は言って、赧くなった。次郎とはじめて会うた日のことを想いだしたのである。次郎は今日も築港で仕事していて留守だった。帰って来たら、〆さんがプラネタリュウムへ行ったことを話そうと、君枝はちらと思った。
「それ、それ、そのプラネタリで、南十字星言うもん見せて貰て来てん」
〆団治が言うと、他吉の眼は輝いた。
〆団治が帰る頃、他吉はなにを思いだしたか、
「それはそうと、〆さん、マニラへ行たらな、歯抜きの辰いう歯医者を探して昔わいが借りた二円かえしといてんか。この歯を抜いてもろた時の借金や」
と言い、口をあけて、奥歯を見せたが、息切れして、いかにも苦しそうであった。
「よっしゃ、よっしゃ。歯抜きの辰つぁんやな」
〆団治は言ったが、二十何年か前、婿の新太郎がマニラから寄越した手紙で歯抜きの辰はとっくに死んでいると承知している筈だのに、今はこの耄碌の仕方かと、さすがにほろりとした。