Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme
「ほな、おっさんに夕刊一枚おくれんか」
その気もなく言うと、
「やったかて、読めるのんかいな。おっさんら新聞見ても、新聞やのうて珍ぷん漢ぷんやろ?」
「殺生な。そんな毒性(どくしょ)な物の言い方する奴あるか。――ほんまはな、夕刊でなこの鼻の穴の紙を……」
……詰めかえながら、河童路地へ戻って来ると、めずらしく郵便がはいっていた。切手を見て、マニラの婿から来た手紙だとすぐ判ったが、勿論読めなかった。
歯抜きの辰という歯医者を探したところ、とっくに死んでいたというたよりがあってから、一月振りの手紙で、こんどはどんなたよりが書いてあるかと、娘の帰りを待ち切れず、〆団治なら読めるだろうと、その足で、
「〆さん、〆さん、留守か。居るのんか。居れへんのんか」
隣の〆団治に声をかけた。
すると、羅宇しかえ屋の家の中から、声だけ来て、
「〆さんは寄席だっせ」
「さよか。――ところで、おばはん、けったいな事訊くけど、おまはん字イはどないだ?」
「良え薬でもくれるのんか。なんし、わての痔イは物言うても痛む奴ちゃさかい」
字と痔をききちがえて、羅宇しかえ屋のお内儀が言うと、
「あれくらい大けな声出したら、なるほど痛みもするわいな」