Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme
――今ここで怪我をしては孫が……
他吉は気を失っただけで済んだ。
やがて、どれだけ経ったろうか、ベンゲットの丸竹の寝台の上に寝ている夢で眼をさますと、そこはもとの橋の上で、泡盛でも飲み過ぎたのかと、揺り起されていた。
そうして五年が経った。
間もなく小学校ゆえ君枝を自身俥に乗せて河童路地へ連れて戻ると君枝は痩せて顔色がわるく、青洟で筒っぽうの袖をこちこちにして、陰気な娘だった。
両親のないことがもう子供心にもこたえるらしく、それ故の精のなさかと、見れば不憫で、鮭を焼いて食べさせたところ、
「これ、何ちゅうお菜なら?」
と、里訛で訊くのだった。
「鮭という魚(とと)や」
「魚て何なら?」
「あッ、それでは……」
里では魚も食べさせて貰えなかったのかと、他吉はほろりとして、
「取るもんだけは、きちきち取りくさって、この子をそんな目に会わしてけつかったのか」
と、そこらあたり睨みまわす眼にもふだんの光が無かった。
君枝は茶碗の中へ顔を突っ込み、突っ込み、がつがつと食べ、ほろりとした他吉が、
「ほんまにお前にも苦労さすなあ。堪忍(かに)してや。しかし、なんやぜ、よそへ貰われるより、こないしてお祖父(じい)やんと一緒に飯(まま)食べる方が、なんぼ良えか判れへんぜ。