Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme
君ちゃん、今晩はおっさんとこで一しょに寝よ。こんな鬼爺のとこで寝たら、どえらい目に会わされるぜ。さあ、行こ、行こ」
他吉は〆団治がそう言って君枝を連れて行くのを、とめようとする元気もなかった。
やっぱり里子にやったり、自分の手ひとつで育てて来たのが間ちがいだったかと、げっそりして坐っていると、ふと火をつけたままの線香を握っているのに気がついた。
他吉はそれを手製の仏壇のところへ持って行った。
そこには、新太郎の位牌があった。
燈明をあげて、じっとそれを見つめていると、このまま君枝をどこぞへ遣って、マニラへ行き、新太郎の墓へ詣ってみたいという気持がしみじみ来た。
隣りから、法華の〆団治が、
「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経!」
と、寒行の口調で唱っているのがきこえて来た。
「ドンツク、ドンツク、南無妙法蓮華経、ドンツク、ドンツク」
太鼓の口真似をしているのは、君枝だ。
あ、もう機嫌がなおったのかと、他吉は思わず壁を見たが、やがて、こそこそ蒲団のなかへもぐり込もうとした途端、ふと、孫が傍にいないことが寂しく来て、ベンゲットの夜はいつもこんなうらぶれた気持で寝たのだという想いが、ひっそりと、胸に落ちた。