Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme
路地まで来て、ほっと心に灯をともし、足も速くなるが、「只今!」と二階へあがって、柳吉の姿が見えぬことがしばしばである。
儲けただけは全部柳吉が使うので、いつ借金がかえせるか見込みがつかず、おまけに柳吉の心が実家と蝶子の間を……
「……あっちイ行ったり、こっちイ行ったりで、ぶらぶらして頼りないんや。しかし、他あやん、これも無理はない。なんし、先方にはれっきとした奥さんもあるこっちゃさかいな。蝶子の奴も、えらい罪つくりやし、おまけにそやって苦労しとっても、いつなんどき相手と別れんならんか判れへんし、苦労の仕甲斐がないわ。ここでの話やけど、その柳吉つぁんというのは吃音でな、吃音にわるい人間は居らんというだけあって、人間は良え人間やけど、なんし、ぼんぼんやぜな、蝶子も余計苦労や」
種吉はしみじみと言い、もうはいって来た時の見幕などどこにも見当らず、
「――これというのも、みな芸者になったばっかしや。ほんまに、他あやん、娘をもっても水商売にだけは入れるもんやあれへんぜ。言や言うもんの、やっぱりお前の言う通りや」
喧嘩しに来たことを忘れて、種吉はすごすご帰って行った。