Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme
「ああ、良え音するわ、ペタ、ペタ、ペタ、ペタ、この音寝てる人に聴えへんのやろか」
遠まわしに他吉を起すと他吉は、
「聴えることは聴えるけどな……」
精の抜けた寝がえりを打って、しょんぼりした顔をふわーっと、蒲団からだした。そして、言うことには、
「――君枝お前は感心な奴ちゃな。文句もいわんと毎日よう動(いの)いてくれる。それやのに、わいはなんちゅうど阿呆やろ。ほんまに子供のお前に恥かしいわ」
「お祖父やん、どないかしたんか。草履買うて釣もらうのん忘れたんか」
「それどころの騒ぎやあるかい」
他吉は大人に物言うような口調になり、
「――阿呆の細工に、十姉妹追いかけてる隙に、俥盗られてしもてん。えらいことになってしもた。明日から商売でけん」
だから、日の丸湯へ顔出しする元気もなく、こうやって蒲団かぶって寝ていたのだと、ぶつぶつ言うと、君枝はぺたりと尻餅ついて、ああ、えらいことになってしもたと、子供心にこたえたようだった。
俥がなくては商売が出来ず、まる二日は魂が抜けたようになって、あちこち探しまわったり、
「ああ、もう焼糞や。焼の勘八、日焼けの茄子や」
と言いながら、畳の上に仰向けになってごろんごろんしていた。