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Japanische Klassiker mit Furigana

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わがまち

わが町

織田 作之助

Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme

Aozora Bunko

「世の中てほんまにうまいことしたアる」

と、喜んで、また俥をひいて出ていたのだった。

「お祖父ちゃんももうええ歳や、ええ加減に隠居しなはれ。だいいち、もう坂路をひいたりするのが辛いやろ?」

と、停めても、

「阿呆いえ、坂路もありゃこそ、俥に乗ってくれる人もあんのやぜ。ぶらぶら遊んだら、骨が肉ばなれてしまう」

と、きかず、よちよち「ベンゲットの苦労を想えば、こんなもんすかみたいなもんや」という想いを走らせている他吉の気持は、君枝にはうなずけたが、しかし、その姿を見れば、やはりチクチク胸が痛み、眼があつく、

「――私(うち)に甲斐性がないさかいお祖父ちゃんも働かんならんのや」

と、この想いの方が強く来て、君枝は思いがけず金銭のことに無関心で居れず欲が出た。

けれど、たとえば、電話機の消毒に廻る水商売の家でいわれる――

「あんたの器量なら、何もこんなことをせんでも、ほかにもっと金のとれる仕事がおまっしゃろ」

という誘いには、さすがに君枝は乗る気はせず、やはり消毒液の勧誘の成績をあげて、特別手当をいくらかでも余計に貰うよりほかはないと、白粉つけぬ顔に汗を流して、あと一里の道に日が暮れても、せっせと歩くのだった。