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Japanische Klassiker mit Furigana

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アド・バルーン

アド・バルーン

織田 作之助

Lesen Sie アド・バルーン von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.390 Zeichen · 53 Bildschirme

Aozora Bunko

それともうひとつ想いだすのは、浜子が法善寺の小路の前を通る時、ちょっと覗きこんで、お父つあんの出たはるのはあの寄席やと花月の方を指しながら、私たちに言って、きゅうにペロリと舌を出したあの仕草です。

やがて楽天地の建物が見えました。が、浜子は私たちをその前まで連れて行ってはくれず、ひょいと日本橋一丁目の方へ折れて、そしてすぐ掛りにある目安寺の中へはいりました。そこは献納提灯がいくつも掛っていて、灯明の灯が揺れ、線香の火が瞬き、やはり明るかったが、しかし、ふと暗い隅が残っていたりして、道頓堀の明るさと違います。浜子は不動明王の前へ灯明をあげて、何やら訳のわからぬ言葉を妙な節まわしで唱えていたかと思うと、私たちには物も言わずにこんどは水掛地蔵の前へ来て、目鼻のすりへった地蔵の顔や、水垢のために色のかわった胸のあたりに水を掛けたり、タワシでこすったりした。私は新次と顔を見合せました。

目安寺を出ると、暗かった。が、浜子はすぐ私たちを光の中へ連れて行きました。お午の夜店が出ていたのです。お午の夜店というのは午の日ごとに、道頓堀の朝日座の角から千日前の金刀比羅通りまでの南北の筋に出る夜店で、私はふたたび夜の蛾のようにこの世界にあこがれてしまったのです。