Japanische Klassiker mit Furigana
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オンチ
オンチ
夢野 久作
Lesen Sie オンチ von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.673 Zeichen · 42 Bildschirme
のみならず、いつもニコニコしている小さな眼の光りが、処女のように柔和なので、さながらに巨大な赤ん坊のように見えた。
その大股にノッシノッシと歩く又野の右側から、チョコチョコと跟いて来る小柄な男は、油差しの戸塚という青年で、敏捷らしい眼に鉄縁の近眼鏡をかけている。色の黒い、顔の小さい、栗鼠という綽名に相応しい感じの男。又、左側に大股を踏んばって、又野と歩調を合わせて来るスラリとした好男子は、修繕工の三好といって、相当学問のある才物らしく、大きな擬鼈甲縁の眼鏡をかけているが、三人とも無言のまま大急ぎでツンボ・コートを通抜けて、広い面積に投散らしてある鉄材の切屑をグルリとまわって、事務室の前から正門を通る広い道路まで来ると、やっと又野が口を利き出した。
「ああ。やっとこさ話の出来る処まで来た」
「まったく……あのスチームの音は非道いね。創立以来のパイプだから、塞ごうたって塞ぎ切れるもんじゃねえ」
三好が振返って冷笑した。「会社全体が、あの通り調子付いていやがるんだからな」
「シッカリ働け。ボーナスが大きいぞ」と又野が巨大な肩をゆすぶって見せた。三好が今一度冷笑した。