Japanische Klassiker mit Furigana
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オンチ
オンチ
夢野 久作
Lesen Sie オンチ von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.673 Zeichen · 42 Bildschirme
振返ってみる迄もなく、それが今の白坊主である事がわかった。
「ウワアッ」
と三好は夢中になって藻掻いたが、白坊主の力は意外に強く、肩先を羽がい締めにして来るので呼吸が詰まりそうになって来た。そのうちに白坊主は三好を抱えたまま、よろよろとよろめいて背後の腰かけに尻餅を突いた。
「ダアッ……ガワガワガワガワ……ウガ――ッ……」
三好の叫び声を聞いた駅夫や駅員と、あとから人力車に乗って来た乗客が二三人、近寄って来たが、あんまり奇妙な光景なので、茫然として入口に突立ったまま見ていた。
その時に白坊主が、三好の耳に鼻の穴を近づけた。カスレた声で囁いた。
「……俺が誰か……わかるか……」
「ウア――ッ……ウワア――ッ……」
と三好は悲鳴を揚げて藻掻き狂った。相手の声を聞くと同時に、恐怖が数倍したらしかった。スマートな長身の若紳士が、真白い大入道に抱き付かれて、半狂乱に暴れている光景……それを通じてわかる白入道の超人的な怪力と、血も涙もない冷静な怒り……見ている連中は石のように固くなってしまった。
「……幽霊だあッ……ウワア――ッ……」
「幽霊じゃない……」
白坊主が底力のある声で云った。