Japanische Klassiker mit Furigana
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ひきょうもの
カインの末裔
有島 武郎
Lesen Sie カインの末裔 (ひきょうもの) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.876 Zeichen · 52 Bildschirme
はきはきと物慣れてはいるが、浮薄でもなく、わかるところは気持ちよくわかる質らしかった。彼と差し向かいだった時とは反対に、父はその人に対してことのほか快活だった。部屋の中の空気が昨夜とはすっかり変わってしまった。
「なあに、疲れてなんかおりません。こんなことは毎度でございますから」
朝飯をすますとこう言って、その人はすぐ身じたくにかかった。そして監督の案内で農場内を見てまわった。
「私は実はこちらを拝見するのははじめてで、帳場に任して何もさせていたもんでございますから、……もっとも報告は確実にさせていましたからけっしてお気に障るような始末にはなっていないつもりでございますが、なにしろ少し手を延ばして見ますと、体がいくつあっても足りませんので」
そう言って矢部は快げに日の光をまともに受けながら声高に笑った。その言葉を聞くと父は意外そうに相手の顔を見た。そして不安の色が、ちらりとその眼を通り過ぎた。
農場内を一とおり見てまわるだけで十分半日はかかった。昼少し過ぎに一同はちょうどいい疲れかげんで事務所に帰りついた。
「まずこれなら相当の成績でございます。私もお頼まれがいがあったようなものかと思いますが、いかがな思召しでしょう」